みなさんこんにちは!院長の浅野です。
今回は「もの忘れ」を中心とした中核症状についてです。
認知症の症状を表現するときに記憶障害などの「もの忘れ」を代表に、家事や金銭管理などいつも当たり前にできていたことが出来なくなってくるなどの生活に支障をきたす症状が出て来ることがあります。これらを中核症状と呼びます。また、当然そのような状況に陥るとご本人も周囲の方も「不安」に陥ったり、あれこれ考えすぎて「妄想」を抱いたり、場合によっては「幻覚」が出たりします。そして、周囲の人からあれこれ指摘されたり、嫌なことが重なるとプンプン・・・これらを周辺症状、もしくは行動心理症状と呼びます。
今回は中核症状の「もの忘れ」について少しお話します。
アルツハイマー型を代表とする認知症の方の多くは「短期記憶」といって、「ついさっきまでのこと」が最も苦手になります。
これは、介護者にとって、さっき言ったはず、なぜ?と葛藤の原因になりやすいのです。また、昔のことは記憶をためているところが違い、病気によって障害されている短期記憶と比べて初期はしっかりと残りやすいので「同じことばっかり・・・」とこれまた葛藤の原因になります。悩ましいですね。。。
この症状はなかなか改善が難しく、生活上の困り事として、ご本人の能力によってご家族の生活が支えられていた場合(家事や孫の守りなど)、中核症状の進行は、大きな問題になります。
しかし、中核症状は、ゆっくりとした老化でも起きてくる自然の流れでもあるので、抗いすぎず受け入れながら暮らしていくことも大切です。いわゆる認知症のお薬(ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミン・メマンチンなど)はそれぞれ特徴をもってこの中核症状の進行を緩やかにしてくれる効果が期待できます。これは、治すというよりは進行をゆっくりにしながらコントロールして、本人も家族も受け入れていくために便利に使うお薬の一つです。またお薬のことについては後日話題にしますが、気になるところですね!
今回の中核症状、とくに「ものわすれ」については、真正面からぶつかってしまうと生活が少しギスギスしてご本人、介護者ともに辛いことにもなりますが、対応のコツを掴むと生活がすこしゆるやかになるかもしれません。そんなお手伝いをできればと思い、日々診療にあたっています。
認知症の症状の詳細については厚生労働省のホームページも参考にしてみてください
介護者のご理解と忍耐力にのみ任せた認知症診療には限界があります。当院では地域の介護事業者様との連携を大切に、またクリニック一丸となってご本人、介護者の皆様のご負担を少なくできるよう一緒に考えていきます。
お気軽にお声掛け下さい。
2016/07/11 スタッフブログ