11月 和食の日
あさのクリニック管理栄養士です。
先月に引き続き、記念日シリーズです。
11月24日は何の日かご存じですか?【11(いい)2(にほん)4(しょく)→いい日本食】で、和食の日です。
ちなみに、【11(いい)2(ふ)4(し)→いい節】で、鰹節の日でもあります。
日本食の食文化にとって大変重要な時期である秋の日に、毎年、一人ひとりが「和食」文化について認識を深め、和食文化の大切さを再認識するきっかけの日となっていくよう願いをこめて、制定されました。
また、平成25年12月、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録され、
②健康的な食生活を支える栄養バランス
③自然の美しさや季節の移ろいの表現
④正月などの年中行事との密接な関わり
以上の4つが和食の特徴とされています。
今年は近年稀にみる米不足がニュースなどで報道され、スーパーの棚から米が消えた光景がしばらく続きました。要因の一つとして海外からの旅行者が増加し日本食を好んで食べられていることも挙げられていました。
そんな人気の日本食の味付けはなんと言っても「だし」が決め手です。そして②にもあるように、『健康的な食生活を支える栄養バランス』は長寿の秘訣でもあります。
そんな和食には欠かせない「だし」のさまざまな効果を1~4にまとめました。
1.満腹感を持続させ食べ過ぎを防ぐ
グルタミン酸を含む食事をすると、満腹感が持続するそう。
グルタミン酸を含むスープを食後に摂取する事で間食や摂取カロリーも減るという報告もあります。
また、かつおだしに含まれるヒスチジンには脂肪燃焼効果もあるのでダイエットにオススメです。
2.心を安定させる
うまみ成分には精神的な安定を促す作用があることがわかってきました。
精神的なストレスを軽減する効果があったり、グルタミン酸の摂取により胃の運動が活発化することで食欲が安定し、自律神経や精神状態と作用しあう可能性があるという報告もあります。
3.疲労を改善する
カツオだしに含まれるヒスチジンやアンセリンには血流を促す作用があり、さまざまな疲労の回復を促すということがわかっています。
4.減塩効果
塩味が少ないと薄味で物足りなく感じてしまいますが、旨味が加わることにより味が補填され、塩分が少量でも美味しく感じる事が出来ます。その理由はうま味成分が「タンパク質(アミノ酸)」であることに由来します。
糖質・脂質・タンパク質(アミノ酸)は、カラダを維持するのに必須な栄養素であるため、自然とカラダが欲しがるようにできています。また、口にするとβ-エンドルフィンなどの快楽物質が放出されるので満足感を感じ、病みつきになることも知られています。糖質+脂質のスイーツが無性に食べたくなるというのもこの理由からです。同じように、「うま味」もタンパク質(アミノ酸)として脳に認識されるため、脂質や糖質と同様の満足感がもたらされます。
ダイエット中は、糖質や脂質が多いものは避けたいところ。代わりにヘルシーな「だしのうま味」をもっと利用していきましょう。
時短、コスパ、タイパなどの言葉を聞く頻度が増えてきた昨今、かつおやいりこ、昆布を使ってだしを引くご家庭よりも、だしパックや粉末のだしを使われる方が多いかもしれません。市販のだしには塩が添加されている場合もあるので塩分の取りすぎには注意が必要です。
時間に余裕がある時はご家庭でゆっくりだしを引いてみるといつもの和食が料亭の味に近づくかもしれませんね。
出典元:一般社団法人和食文化国民会議 – 11月24日は「和食の日」
参考:農林水産省 – 「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されています
10月 きのこ
あさのクリニック管理栄養士です。
10月15日は「きのこの日」ということをご存じですか?
きのこの消費拡大と生産振興を図るため、きのこに対する正しい知識の普及、啓蒙活動を積極的に推進して、消費者にきのこの健康食品としての有用性や調理、利用方法の浸透を図るために、日本特用林産振興会によって制定されました。10月はきのこが最も多く取り扱われる月であり、天然のきのこも多く採れる月で、きのこ狩り、紅葉狩りなど山の幸を実感できる月でもあります。また、10月はスーパーなどの店頭できのこコーナーが拡充される月であり、冬場の鍋需要を前に、消費拡大のためのイベント等の実施に最も適した月でもあります。15日は一般に月の中日で慌ただしくなく消費者に対してきのこの良さをアピールするのに適していると思われます。よって10月15日を”きのこの日”と定めることを提唱し、制定に至りました。
引用元:日本特用林産振興会のホームページ – ~10月15日はきのこの日~
ポスター出典元:日本特用林産振興会のホームページ – ~10月15日はきのこの日~
きのこの優秀さと現状
秋の味覚の代表でもあるきのこ。様々な食品の価格が高騰するなかでも栽培技術の向上により1年を通して安定的な供給が可能となり値段もほぼ一定で、料理のかさ増しにも使える優秀食材です。
しかし、栄養指導をしていて食事内容の聞き取りを行った際に、きのこを定期的に食べている人は意外と少ない印象です。きのこをあまり買わない理由として、そもそもきのこが嫌いという方もいらっしゃいますが、買ってきても冷蔵庫の中で場所を取る、すぐに傷んでしまうという声を聞きました。
きのこを保存する時の注意点を紹介します。
- 洗わない
洗ってしまうときのこの風味が落ちてしまうので、湿らせたキッチンペーパーで汚れを落とす程度にとどめましょう。 - 適温温度で保存
きのこの保存適温は2~5℃です。野菜室は7~10℃くらいに設定されているので冷蔵室で保存しましょう。 - 湿気に注意
冷蔵室で保存していると水滴がついてしまい早く傷んだり、風味が落ちる原因になります。
パックや袋から出し、キッチンペーパーで包んで保存袋にいれましょう。
きのこをもっと楽しむために
きのこは冷凍保存も可能です。きのこは冷凍することで細胞膜が壊れて、ビタミンDやビタミンB群、カリウムなどの栄養成分、グアニル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸などの旨み成分が細胞から出てくるため、生のきのこの3倍に増えます。冷凍したきのこを調理する時は、解凍せず冷凍のまま使うことが大切です!解凍してから使ってしまうと、水分が出て栄養素や旨みが失われてしまいます。
- しめじ
石づきを落として、ほぐして保存袋に入れる。 - えのき茸
石づきを落として、ほぐして3等分くらいに分けてラップでくるんで保存袋に入れる。
ほぐした状態のものを半分に切って、保存袋に入れるのもおすすめ。 - しいたけ
石づきを落として、保存袋に入れる。
きのこを干してビタミンDを増やす
また、きのこは干すことでビタミンDの量が増えます。冷凍庫にスペースがない場合は干してから冷凍したり、きのこを使う前に2~3時間干してから使うのもおすすめです。
いつも同じきのこばかりを買ってしまいがちですが、保存するコツを知っていればいろいろな種類を取り入れて使い切ることができますね。
9月 防災
あさのクリニック管理栄養士です。
9月1日は防災の日でした。
関東大震災が発生した日であるとともに、暦の上では二百十日に当たり、台風シーズンを迎える時期でもあり、昭和34(1959)年9月26日の「伊勢湾台風」によって、戦後最大の被害(全半壊・流失家屋15万3,893戸、浸水家屋36万3,611戸、死者4,700人、行方不明401人、傷者3万8,917人)を被ったことが契機となって、地震や風水害等に対する心構え等を育成するため、防災の日が創設されました。昭和57年からは、9月1日の防災の日を含む一週間を防災週間と定められています。
今年の地震と備えの大切さ
今年は1月1日の能登半島地震、4月17日深夜の道後水道を震源とする地震、8月8日の日向灘地震、8月15日神奈川県西部を震源とする地震と大きい地震が頻発しています。
8月8日19時15分には「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。8月15日17時に解除されましたが、大規模地震の発生の可能性がなくなったわけではないことから、「日頃からの地震への備え」については、引き続き実施してくださいとの事です。
南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられます。
「南海トラフ地震臨時情報」が発表されても結局のところ何もしなかった一人ですが、スーパーやドラッグストアでは水やお米が品薄の状況が続いています。
備えあれば憂いなしと諺でもあるように、防災グッズの準備や貴重品は誰が持ち出すのか家族で話し合っておくなど日頃からの備えが大切です。
避難するときに持ち出すものリスト
避難の際に持ち出すもの(クリックでPDFダウンロード)
『災害の「備え」チェックリスト』(首相官邸ホームページ)(https://www.kantei.go.jp/jp/content/000111250.pdf)を加工して作成
上記の持ち出すものリストを全て準備することはなかなか難しいと思いますが、夏、冬でリストを分けてもいいかもしれませんね。
また、年齢や性別で必要なものが変わるのも要注意です。女性の下着は避難場所によっては干す場所に困るため、ボクサータイプの下着をおすすめしているサイトもありました。
食料品の備え方
食料品に関しては、国は最低3日分、できれば一週間分の備蓄を呼びかけています。
家族全員分を3日間の備蓄となると置き場所、管理が大変になるためローリングストックがおすすめです。ローリングストックとは、普段から少し多めに食材、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法です。ローリングストックのポイントは、日常生活で消費しながら備蓄することです。
食料等を一定量に保ちながら、消費と購入を繰り返すことで、備蓄品の鮮度を保ち、いざという時にも日常生活に近い食生活を送ることができるはずです。日頃よく使う缶詰やレトルト食品を中心に揃えておくと、いざという時慌てずにすみますね。
水の備え方
水は一日一人当たり3L必要と言われています。3日間で9L、1週間で21Lとなります。一般的なミネラルウォーターは約2年、ペットボトルで販売されている長期保存水は5~10年が賞味期限とされています。飲み水だけでなく、手を洗う、汚れを流すなどの生活用水も必要になってくるため、賞味期限の切れた水でも捨てずに取っておきましょう。
以下のサイトも参考にしてください。
●政府広報オンライン「いつもの食品で、もしもの備えに!食品備蓄のコツとは?」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202103/2.html
8月 果物
あさのクリニック管理栄養士です。
梅雨も上がり本格的な暑い夏がやってきました。
先月のブログでもお話しましたが、水分補給はこまめにできていますか?
栄養指導をしていると、「水分がわりにスイカや桃など果物をよく食べている」という話を時々聞きます。
岡山特産の果物といえば桃ですね。産直市場には様々な種類の桃がたくさん並んでいます。
ご近所に桃農家の方がいらしたら、売りに出せない桃をたくさんいただく方も多いと思います。
岡山の桃は1玉ずつ手作業で袋かけを行い、収穫するまでそのまま栽培されるため白い桃になります。
品種は清水白桃をはじめ、13種類もあります。中でも「華清水」という品種は総社生まれだそうです。
そんな桃ですが、1個180gあたりのカロリーは72kcal、糖質は16gあります。
水分がわりに桃を食べていると、血糖、中性脂肪の上昇につながります。
桃だけでなく、ブドウやスイカも糖質量が多いので注意が必要です。
以下にいろいろな果物の糖質量の一覧を載せました。参考にしてみてください。
果物はビタミンや食物繊維、抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれるなどいい面もあります。
量と食べるタイミングに気を付けて食べるようにしましょう。
食べるタイミングでおすすめなのは、朝食か昼食後です。夕食後はお風呂に入ってあとは寝るだけという方が多く、活動量が少ないためあまりおすすめできません。
食べる量はだいたい80kcalくらいを目安にしましょう。バナナは1本、桃は1個、リンゴは1/2個程度です。
旬の果物は適量を守っておいしくいただきましょう。
7月 水分補給
あさのクリニック管理栄養士です。
曇り空の日でも最高気温が30度を超え、暑さも本格的になってきました。
みなさん水分はしっかり摂れていますか?
冬に比べて夏は汗をかいたり、喉が渇くため比較的水分摂取量が増えてくる時期ではありますが、意外と少ない人が目につきます。
元々水分を摂る習慣がなかったり、仕事が忙しく日中に飲むタイミングがないなど理由は様々です。
私たちの身体は、体重の約60~65%は水です。高齢者で50~55%、子供で70%と性別や年齢で少し差はありますが、
身体の中の水分の約3分の2は身体の細胞内に存在しています。残り3分の1は細胞と細胞の間に存在する細胞間液と血液にあり、それぞれ生命を維持するために働いています。
1日に必要な水分量
1日に必要な水分は2,500mlと言われています。
身体から出ていく水分は尿や便だけではなく、呼吸と皮膚からも出てしまっています。その量は約1000mlです。
夏はこれにプラスして汗もかくのでさらに水分が出ていく量は増えます。
1日に2,500mlも飲めない!と思われるかもしれませんが、大丈夫です!
食事に含まれる水分もあるからです。1日3食バランスよく食事をされている方は約1,000ml程度の水分を摂っていることになります。
残りを水やお茶などの水分で摂ればOKです。
必要水分摂取量は簡単に算出することができます。
必要水分量=自分の体重×30ml
体重50㎏の人は、50㎏×30ml=1,500ml
となります。
それでも多いと思われるかもしれませんが、1日かけて少しずつ摂るようにしましょう。
- 喉が渇く前から水分補給をしましょう。
→ 喉が渇いたと感じたときには身体はすでに脱水状態といわれています。早めの水分補給が大切です。 - できるだけ常温以上のものを飲みましょう。
→ 冷たいものを飲むと胃内で滞留し他の臓器を冷やしてしまい、消化不良や夏バテにつながります。 - 水分はできるだけ水やお茶にしましょう。
→ 清涼飲料水は砂糖の摂りすぎにつながります。コーヒーは利尿作用があるため飲みすぎると逆に水分不足になる危険があります。
外出やスポーツをする際の水分補給
日常生活であれば水やお茶などの水分補給で問題はありません。
しかし、日中の外出や屋外でのスポーツなど汗を大量にかくときは熱中症に注意が必要です。
汗をかくと身体の中の塩分やミネラルも一緒に出て行ってしまうので、水分と一緒に補給する必要があります。
とはいえ、スポーツドリンクも飲みすぎると糖分と塩分の摂りすぎになるので注意が必要です。
スポーツドリンクを手作りしてみるのもおすすめです!
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■材料
水 - 1L
塩 - 3g
砂糖(またはハチミツ)- 大さじ4
レモンの絞り汁 - 大さじ3 -
■作り方
水以外の材料を容器に入れ、少量の水でよく溶かす。
残りの水を入れてよくかき混ぜて完成!
砂糖は白砂糖ではなくきび砂糖や黒糖などミネラルを含む砂糖を使うといいですね♪
実際に作ったスポーツドリンクです。てんさい糖を使いましたが、とてもおいしくできあがりました。
皆さんもぜひチャレンジしてみてくださいね!